次の世界に

人類は、脆弱で愚かな種だということは、皆心の何処かで理解している。
それでも、生まれたからには、絶滅するまで生き続けるのが生命の権利であり、義務である。

一説には、人類が滅亡すると、文明の痕跡は千年を待たずして消滅してしまうという。
近代的なビルディングも、押し寄せる緑の波に呑まれ、根や蔓によって倒壊し、書物やディスク等も劣化し風化する。

僅か2000年程度の文明が、地球上に残るには、まだ科学レベルが低すぎるのだろう。

そんな未来を儚んだわけでもないだろうが、サファイアディスクにプラチナで記録する【現代の石版】がフランスで作られた。
理論的には、100万年後でも劣化しないという。

使用するのは、放射性廃棄物の埋め立てに関する記述だが、未来の考古学者のために、現在の記録を残そうという意味も持つ。

ただ、100万年後の人類が、どのような言語体系を持っているのか、また地球の盟主が別種の生物になっていた場合、どのような言語で残せば良いのか検討中とのこと。

何とも面白い発想だが、ほんの少し地球が変動しただけで、あっさりと滅亡する可能性は否定出来ないので、人類という種がいたという証を何処かに残して置くのは、実は重要なことなのかもしれない。

ゆっくりと衰退していくのか、例えば明日にでも急変が起こり滅亡するのか、こればかりは誰にも予想は出来ない。
健在であったとしても、100万年後の人類がどのように変異しているのか、を思えば考古学上の価値はある・・・のか?

とりあえず、Oパーツ扱いされたら、未来の生物の話題の一つぐらいにはなるだろう。