物は考えよう

ダメな映画を観てしまった時の、時間と労力を返せ、という気分は、とっくに慣れた。
昔は、映画館でこの感覚を味わっていたのだから、DVDなど楽なものだ。

こんな映画を観てしまった、ではなくて、こんな映画を最後まで観終えた、という達成感を感じた方が+思考だろう。
早送りしたい衝動と90分前後は戦うわけだから、マニアというのはドMである。
何故、早送りをしないのかは、映画好き、特に低予算映画好きには理解してもらえると思う。

世の中には、面白そうになるまで早送りしよう、と思っていたら映画が終わっていた、という衝撃作が存在する。
恐ろしく低レベルな起承転結でも、通常再生で何とか起伏を感じないと観た記憶すら残らないのだ。
ホラーに至っては、殺人シーンがフラッシュ並で、早送りだと何故か全員死んでたという感想しか残らないハメになる。
面倒でも、悪霊か悪魔かが、怖い顔をしたから死んだ、という理不尽な映像を確認する必要があったりする。
90分の作品から、3行位しか書く事が無いとしても、観ないよりは良かったと思いたい。

ちなみにタイトルだけ聞いても、即座に内容が浮かばないので、ノートで確認したら、3回目だったという作品もある。
邦題だと【悪魔の〜】【死霊の〜】【○○ゾンビ】【〜オブ・ザ・デッド】など、余りにも適当すぎて混乱する。

個人的に最悪なのは、【ゾンビ・ドローム】である。
原題は【INCUBO SULLA CITTA CONTAMINATA】英題【NIGHTMARE CITY:CITY OF THE DEAD 等】であり、飛行機からゾロゾロと出てきたゾンビが、マシンガンを撃ちまくりながら全力疾走してくるという、最強のゾンビ映画
名作ビデオドロームとゾンビを足して100倍に希釈したような邦題も酷いが、当時の常として映画会社やビデオ会社を経由するたびに題名が変わっていたのも罪な話だ。
脚本はゾンビの設定の凄まじさも然ることながら、散々グルグルした挙句に夢オチでしたけど本当かも?という、ある意味一番やっちゃいけない筋なのが残念。
ゾンビは歩くもんじゃ、囲むもんじゃ、という私のようなロメロ愛好者としては、走りゾンビを確認した最初の記念すべき作品である。
でも、何でか、嫌いになれない不思議なテイストがある映画。
現代の特殊技術で撮り直して、少し本に手を入れると・・・、いや、それじゃDawn of 〜になってしまうか。
最高の起動力と獰猛さを魅せたDawnゾンビが、銃火器まで使ってきたら、もう前半で人類は全滅するしかないね。

まぁ、何が言いたいのかというと、痘痕も靨というか、趣味関係なら、気力ダウン状態でも、何となくダラダラ書けるなぁ、と。
正直、現在の情勢で、語りたくなるほど興味を引くニュースが無い。
ひとつ毒を吐くなら、熱に浮かされたフリをしていても、現実は冷静に変化するということ。
こういう変化じゃないんだよなぁ、私が望む日本は。