眠る、ということの難しさ

人間の三大欲求は、性欲、食欲、睡眠欲で、どれも生存本能に基づいているからだと言われる。
名誉、権力、金銭、も三大欲には違いないが、全ての人間に当てはまるわけでは無い。

私は、良く言えばストイックな性質である。
まず、食は細い、というより一日一食ぐらいしか食べない。
間食もしないし、甘い物全般が苦手で、キッチンに砂糖が無いほどである。
調理に甘味が必要な時は、砂糖以外の果汁や味醂を使う。
素材よりも調味料に重点を置くため、そこらの料理屋以上に高級な物を購入している。
大抵のものは食べるが、イカ・タコ・貝の類(所謂、血の通っていない)は苦手である。
量としては、レディースランチで充分と言えば分かって貰えるだろうか?

性欲に関しては、女性遍歴や結婚をしたぐらいなので、若い頃は普通だったと思う。
どちらかと言うと攻めであり、自分の性欲より女性を達しさせる方に喜びを感じていた。
一緒には暮らしていないが、子供も作ったので、機能的にも問題は無かったようだ。
最近は、ほとんど女性の肌を欲しないので、かなり性欲は消えてしまった。
少なくとも、映像や絵で衝動的にエレクトするほど元気では無い。

さて、睡眠についてだが、睡魔が来れば、何処でも寝れるタイプになったのは、少年〜青年期に徒歩旅行や渡米していた為と思われる。
端で見ていると、かなり苦しそうな体制でも、眠っているそうだ。
だが、この病気を自覚する前から困った問題を抱えている。
私の夢はフルカラーで、しかも寝起きに残る。
映画なら総天然色も有難いが、嫌悪するような夢の場合、寝起きの気持ち悪さは半端ではない。
そのため、薬量がMAXで眠りに就いても、途中が浅ければ何度も嫌な気分を味わうはめになる。
途中覚醒の割合は、一晩に平均2〜3回。
トイレだけで済む事もあれば、夢の余韻に苦しむこともある。
こうなると、眠ること自体が怖くなる。
しかし、睡眠は大事にしたい。
と、いうわけで色々と安眠グッズなる物を求めてみた。

最初に、医師が推薦する枕、多目のクッション、リラックスできるアロマ、抱き枕等を試してみたが、入眠は楽になったが安眠とは別問題。
軽い運動や入浴が必要なのは理解しているのだが、この病気の関係上、これが中々に難しい。
結論として、就寝前に心を落ち着かせる朗読テープや脳内でなるべく途方もない事柄(宇宙の大きさや気象と海洋の関係とか)を考え、アイマスクをして寝る、というのが今の対処法。
それでも、鬱が深まる時期になると、もう手の打ちようが無いので、とにかく昼でも何でも睡眠時間を稼ぐ手段に出る。

寝るのも死ぬのも同じようなものさ、というセリフがあるが、甦ったゾンビも悪夢を見るのだろうか。
死んだ後ぐらいそっとしておいて欲しいので、私は生まれ変わりも霊魂の存在も信じない。
あくまでフィクションの世界だけの話として、終わらない悪夢に終止符を打ちたい。