渇き

昔から、水分はよく摂る方だったが、投薬治療を始めてから、更に量が増している。

現役の頃は、仕事の打ち合わせや時間潰しに、外で最低でも一日10杯はコーヒーを飲んでいた。
紅茶やコーヒーにミルクや砂糖を入れない主義なので、さぞや胃が荒れていたかと思えば、健康診断では問題なし。
ストレスも胃にこないタイプなので、40歳の無料検診で胃カメラを飲んだ時は、医者に20代後半の健康さですよ、と笑われたぐらいだ。
そう、私の体は自分の生活習慣故に、不思議と壮健なようだ。

基本的に一日一食・一汁三菜、たまにトーストやシナモンの利いたフレンチトーストが無性に食べたくなれば、一枚ぐらい食す。
間食の習慣は無いが、デザートにフルーツやプレーンヨーグルトを食べることがある。
ジャムは苦手で、パンに塗るなら、マーガリンかコンポート。
夏は常温の麦茶、冬は玄米茶か烏龍茶、コーヒーや紅茶は香りが維持できる期間しか飲まないので、少量を買って飲み切るまで使う。
一日の水分量は、一年を問わず、平均で軽く3㍑を超える。
当然だが、トイレの回数も多い。
薬効が薄まるので、余り摂り過ぎもよくないのは理解しているが、どうにも喉の渇きに耐えられない。

外出時は、必ず水筒かミネラルウォーターを持ち歩く。
自販機では、無糖の野菜ジュースかコーヒーを買う。
一度、低血糖になり、それから金平糖や和三盆の干菓子を冷蔵庫に常備し、血糖性疲労を感じたら、2〜3粒摂るようにしている。
フルーツ以外で、私が食べる数少ない甘いものである。

カレーや麻婆豆腐は大の辛党だが、塩分よりカプサイチン系を好み、普段の食事は薄味で、三菜が全て違う食味になるように工夫している。
一種類のドカ食いは舌が飽きてくるし、そもそも胃が小さいので、満腹になるほど食べられない。
最低でも30分は食事に時間を使い、ゆっくりと色んな味を楽しみながら食事をするのが自分流である。

極端に糖類(キッチンに砂糖がない)と動物性タンパク質に欠けるが、魚や野菜を中心に、鶏肉・野菜料理ならマイ・レシピも豊富なので、食卓に貧しさは余り感じない。
ステーキ・焼肉・スキ焼きの単調で量が多い三大牛肉料理が苦手なので、その分は地鶏や鮮魚で補っている。

そして、常に水分が傍にないと、落ち着かない。
お茶を汲んだら、すぐにポットへ水を足さないと、あっという間に空になり、沸くまでの間が辛い。

どうして、こうなったのかは分からないが、体が渇きに弱いのか、精神的なものなのか、とにかく水分は不可欠だ。
あと、体が野菜を欲しているとか、脳性疲労で糖分が必要だとか、何となく浮かんだ時は素直に摂ることにしている。
好みの問題ではなく、そういう風に出来ているのだから仕方が無い。
でも、白砂糖だけは、何があっても口にしない、と思う。
百歩譲って、三温糖がギリギリのライン。

子供の頃は、サトウキビを齧ったり、ツバキ等の蜜を吸ったり、アケビの甘さが嬉しかった。
フルーツ類は、今でも好物なので、ただ甘いだけ、という砂糖の単純さが苦手なのかもしれない。

大量の水分摂取と独特の食習慣が、弱点でもあり、無駄に健康な体の秘訣でもある、と思うと、私は、やはり偏屈な部類の人間なのだなぁ、と思う。