支援と気恥ずかしさ

私は、精神障ガイ者(障害、と書かないらしい)2級として、自治体から福祉手帳を交付されている。
何の役に立つかというと、自治体が運営する公共施設の割引、NHKの受信料免除、各種納税義務の減免と控除、が適用される。
とは言って、もTVは観ないし、施設を利用する元気も無い。
税金についても、基本的に収入が無いので、助けになっているか微妙である。

まぁ、持っていても邪魔にならないし、自立支援についての役所との折衝がスムーズになるので、説明しないで済むのは楽だ。
後、地味に恩恵を受けているのが、生協の個人宅配料金が270円→90円になること、月4〜5回と考えると、これは助かる。

公的に精神障害者ですよ、と認定されることに、最初は抵抗があったが、事実そうなのだから仕方がない。
むしろ、無職の理由を公的に証明できるのだから、精神的負担は減る。
同時に自立支援法の適応も受けたので、医療費に関しても楽になり、恥ずかしがる私を説得してくれた医師に、今では感謝している。

どうも、国の援助を受ける、というのは気恥しさが先に立つ。
母子家庭になっても、医療援助以外は、頑として受けなかった母親の影響かもしれないが、貧乏よりも世間様の目が気になるらしい。
子供の頃に、母子家庭の癖に、家に電話やビデオデッキがあるのはズルい、と冷やかされたことがある。
この時の何とも言えない羞恥心と行き場のない憤りは、只でさえ頑なな私の性格を確実に強めた。
生活保護は貰っていない、と言った所で、医療保護や学費の面では世話になっている以上、否定は出来ない。
病気になど滅多にならないし、学費分は良い成績を取ることで、無駄に免除されているのではない、と自分に言い聞かせた。
国の保護とは、国民の税金であり、無駄な支援を受けているわけではないのだ、と世間に示したかった・・・。

反骨心というのも、使い方で役に立つもので、学生時代はトップクラスの成績で終えることが出来たし、母親の才覚が目覚めた御蔭で、私が家を去る頃には、一家の生計は安定していた。
息子が言うと馬鹿と思われるかもしれないが、母は超山奥育ちという点を除けば、容姿も良く、方言バリバリだが声も美しかった。
趣味人の父が目を付けたのも当然で、母にとっては最悪の不幸だったが、離婚してから鬱屈した心が解き放たれ、生来の魅力を取り戻したのか、カラオケ教室の先生やイベントの司会等の仕事も入るようになり、本業の工場のパートを止め、現在も半タレントのような仕事をしている。
山奥の里だけに、鬼の血でも入っているのか、母方は昔から長寿の家系で、若さを保っている年数も長いとは聞いていたが、何か遺伝子に秘密でもあるのかもしれない。

私は、中身は男子短命の父方の血が濃いと思われる。
母親譲りなのは、頑強な毛根が生み出す豊かな髪と目が二重まぶたで、まつ毛が長いことぐらいだ。
女性関係に関して、それなりに人生を悔やまずに済んだのも、この遺伝による効果が大きいので、母に感謝している。
子供の頃は、冷やかされることが多かった自分の容姿に、気恥しさもあったが、外見も重視される社会では、仕事の上でデメリットよりメリットの方が大きかった。
ステイツで、ゲイがナンパしてくる以外は。


さて、現在の生活でも、生活保護は受けていない。
資産と呼べる内容の蓄えでは無いが、私が扱えば暮らしの足しには十分な品とデータを持っているし、清貧に甘んじる場所として隠居部屋を所有しているので、申請する気は無い。
社会で欝病を患ったので、治療に関しては、上記の通り正当な権利を行使させてもらっている。
払ってきた税金に比べれば、後ろ指をさされる金額では無い。
厚生年金の分野だが、障害者年金も申請していない。
可能性は低いが65歳まで生き延びてしまったら、老後を支える能力もゆとりも無いので、最後の手段として保留している。
これから何か、急に予定外の出費が発生したら、カナダやステイツで購入しておいた隠し金貨をオークションに出品して、手っ取り早く現金に換えるつもりだ。
政情不安定になっても、恐慌が起きても、「金」の相場は揺るぎなく強い。
皆さんも、ある程度の金額を金貨やアンティークコインの現物で保有しておけば、日本経済が破綻しても、当座の足しになるので、お勧めしておく。


人が生きるということは、常に「恥」を感じるのと同じだ。
境遇や仕事も、恋愛や知識も、恥ずかしい思いをすることで、それを克服するために、悩み考えることに繋がる。
一人で気骨を鍛えてばかりだと私のように自己批判から鬱病になる場合もあるが、皆さんは家族や友達と相談し合う事で、人生を豊かにするために「恥」を感じて欲しい。

私は、山積みの「恥」と「後悔」に答えを見つけるために、まだ生きなければならない。