自衛できない法律と警察の在り方

日本は、世界でもトップクラスの治安国家だ。
銃の所持はもちろん、アーミーナイフすら禁じる法律は、さすがに行き過ぎではないかと思わないでもないが、国民が非武装状態になれば、凶悪犯罪も減り、職質もやり易いと言うことだろう。

しかし、凶悪な犯罪を企てる者は、元々法律を破る気でいるため、刃物の所持を禁じるのは意味が無い。
慢性的に持ち歩いていれば、そのうち職質や通報で確保できるかもしれないが、そんな馬鹿では何の犯罪をしても捕まる。
KO強盗や引っ手繰りが増加するだけで、防犯上は大きな意味は無いと思う。

一つだけ意義があるとすれば、大量殺人や通り魔の発生を思いとどまらせる効果ぐらいだろう。
これも、やる奴はやるので、どうにもならないとは思うが。

警察の仕事は、国民が安心して暮らすための潤滑油のような物で、横暴な職質ではない。
基本的に民事不介入なのは、潤滑な社会において、警察が片方の言い分に肩入れしない社会制度だからだ。

警察組織に属しているからといって、何も特別な権限を持っているわけではない。
実際に犯罪が起きた場合に備えて、体力や格闘術、拳銃の所持が認められているだけである。

では、国民は、自分や家族に危機が迫っているのに、警察の助力を得られない、としたらどうだろう。
銃も刃物も持てなければ、己の体を鍛えるか、何らかの護身を学ぶしかない。
相手が、こちらが強くなるまで待ってくれれば良いが、女性や子供が狙われたら、何の抵抗も出来ずに被害に遭う。
事件が起こるまでは、警察は動けないのだから、守りきれなければ最悪の場合、大切な人を失うことになる。

この矛盾を解決しているのが、ステイツの法律による銃の所持・携帯許可だ。
自分の敷地内なら、銃の練習も可能で、携帯許可を得れば、あくまで自衛手段として傍に置くこともできる。
自分の身は自分で守る、という精神故の法だ。
保安官に通報しても何十分或いは数時間も待たされる国では、ライフルの一つも置いておかなければ、とても安心できない。

犯罪者の多くは銃を使用するし、入手も値段も容易で安い。
防衛する側も銃を手に取る。
五分五分の条件での戦いである。

銃があるから犯罪が凶悪化する、というのは理解出来る。
日本国内で銃や爆弾を使った犯罪が少ないのも、入手の困難さと所持・携帯の厳しい審査があるからだ。
ついでに加えれば、警官の数が異常に多いという点もある。

では、外国組織から銃が大量に流れ込んできた場合、日本国民の一般的な人たちは、自衛のために銃を持たせてくれ、と言うだろうか?
恐らく、答えはNo。
警官の武装は増えるかもしれないが、戦えない精神の国民は、もう自ら武器を手にすることを拒むと思われる。
良くも悪くも、もう日本は戦えない国なのだ。

政治が、自衛隊が、警官が、と守ってもらうことを主張しても、自分からどうにかしようとは思わない。

常に犯罪の驚異に晒されている国と、巻き込まれたら運が悪いで済まされる国の違いだ。
日本は治安が良い故に、自衛や危機意識が皆無だ。

こちらが抵抗しなければ、相手も銃を撃たない、と本気で信じて無抵抗主義を吹聴する集団もいる。
真っ先に制圧・蹂躙されるのは目に見えているが、元々戦争を仕掛けてくる国も無いと思っているだけに、我が国の危機意識は最底辺に位置している。

平和が続くのは結構なことで、犯罪など死ぬまで関係しない国民が多いのは素晴らしいことだが、心まで無防備になってはいけない。
自分の人生を守るのも戦いであり、常に何かしらの危機意識は持っていた方が、いざという時に平和ボケから覚醒するのに役立つだろう。