中間という名の永遠

政府は、汚染ガレキ等の中間貯蔵施設の候補地として、福島原発付近の12ヶ所を提示した。

言うまでもなく原発村であり、国としては見返りは十分に支払ってあるから、何処かに決めさせろ、という姿勢が見え透いている。
予定地が決まれば、地域住民の家や土地は、国の買い上げを受けて、この地を去ることになる。

人情としては、住み慣れた土地を追い出され、復興の志すら果たせずに、別の土地に移るというのは、無念であろうと思う。

だが、何処かに埋めるとなると、これはもう候補地に指定された町以外には考えられないわけで、極論を言えば原発を受け入れた以上、いつかは起こるべくして起きた話である。

多少の(高額だが)見返りで、故郷に原発誘致をした当時の自治体の長や先人と根拠の薄い安全論で建造した東電を恨むべきであって、他所に埋めてくれというのは、今更だが虫のいい話だ。

私的には、福島原発廃炉が決定しているのだから、その敷地内に埋めるべきだと思っているが、国の東電贔屓は相変わらずのようで、完全廃炉までの30年を前提にして、原発村に最終的な矛先を向けた感じだ。

すでに汚染ガレキを全国で分散処理してしまっているので、汚染されていない地域の方が少ない気もするが、中間と言いつつ永遠に移転しないのは分かりきっているので、他府県が受け入れる可能性は限りなくゼロだろう。

また、住民が抵抗して時間が経つほど、福島の復興は進まないことにもなる。

どう考えても、東電の責任が一番重いと思うが、原発を設置する地域というのは、基本的に国としては過疎で収益が見込めない所であり、万が一事故が起こっても、いつでも切り捨てることが可能だということだ。

日本国憲法第29条第3項は、私有財産の公的利用には補償を要することを定めるが、同条は通常の受忍の範囲を超え、かつ特別の犠牲を課す場合にのみ適用される。

とはいえ、立ち退きとなれば、感情で騒ぐ組織も出てきそうだし、保障金額のつり上げ狙いも疑われる。

そのための複数候補であり、一番最初に妥協した地域は、立ち退き金が貰えて、将来的にも危険な土地から離れられる。
下手に頑張れば、すぐ近所に石棺を埋め立てられ、何の保障も受けられないまま、二度と動かない原発と暮らすことになる。

高速道路の立ち退きに似ているが、交渉期間を考えれば、それほど迷う時間は無い。
国の思惑を探るまでもなく、早々に折れる候補地が出てくるだろう。

そうなれば、今までのように国や東電が支援する訳もなく、自治体としては、急速に寂れるのは必定だ。
ただ、向こう30年に渡って、除染作業や工事の仕事はあるので、日本中から集まってきている失業者と共に働けるだろう。
現在でも、元請け、下請け、と延々とぶら下がる請負会社の元に、日々失業者が応募してきており、アラーム線量器を誤魔化しながら、命と引き換えに時給を稼いでいる・・・。

で、やっぱり東電を訴える被害地域の住民はいないんだろうなぁ?