五木 寛之

今週のお題「今、読みたい本」

知識や教養を得る本は数多とあるが、人間性を高める本は少ない。
人間性とは、己のあるべき姿を模索し、どういう心持ちで生きていくかというテーマでもある。

うわべを飾るのではなくて、真に得ようと想えば、血となり肉となる作品が必要だ。

タイトルにも上げた【五木 寛之】氏のエッセイに、その答えの一端を得られる。
氏の人生もアクティブなものだが、作家活動で刊行された著作も、波乱万丈である。
決して、自分を飾らず、その時々でありのままの自分の作品を書き続けている。

ずらりと並ぶ作品を上げたい所だが、そこは読者になった方々の興味に任せるとして、私が好きな一冊を選ぶとするなら【生きるヒント】である。
よくあるマニュアル本のように押し付けがましいものではなくて、氏の視点から語られるニュートラルな心の動かし方、生きる喜びが絶妙な筆致で綴られている。

ふと、自分を見失いそうな時、氏の本を取ると、何だか許されたような安堵感を得られる。
風や炎に例えられる文章は、私にとって春風のような優しさを与えてくれる。

40歳を超えたら、氏のエッセイに触れるといい。
斜陽に向かう人生の励みになること間違いなしである。