予想を超える

人間は、対象がどのような変化をするか予想する。
この予想の範囲を増やすために、色々な経験を積むのが大切なのだが、それでも尚、予想外の事態があるから、世の中は面白い。

逆に、変化に対処出来ないということは、致命的である。
わが国では、かなり治安が良いので、凶悪犯罪に巻き込まれる対処は、多くの人が必要ないと思っている。
だが、どれだけ確立が低くても、強盗や通り魔に遭わないとは言い切れない。

ここで、ステイツならば、自衛のために犯罪者並みの武装を望むのだろうが、日本ではカッターナイフですら持っている方が捕まる。
この警察丸投げの安全が正しいかは置いといて、武器が所持できないなら、武器でないもので防衛するしかない。

手っ取り早いのは、護身術を学べばよい。
私の田舎では、日本でも珍しいことに杖術が盛んだったので、剣道を学ぶついでに、最低限は身につけた。

今になってみれば、膝をかばうために持ち歩いている杖が、もしもの時は役に立ちそうだ。
よく剣道三倍段と呼ばれるが、実戦の場で竹刀や木刀を所持しているケースは稀だから、リーチの有利を指しているのなら誇張である。
だが、体の使い方で言えば、剣道家は鍛え方も違うので、普通に喧嘩も強い。
剣術にマジックのような技は存在しないが、相手の動きに合わせたり、攻撃を無効にするという手法なら、山のようにある。
これに、杖が手元にあれば、ほぼ危険は回避できるだろう。

元々、杖術は、身分が低く帯刀を許されなかった捕り手役人から発祥し、江戸時代に庶民の間で普及した歴史がある。
現代のように、刃物を持ち歩けない時代には、もってこいの護身術だと思うのだが、余りお目にかからないのが残念だ。

まぁ、逆に杖術の存在すら知らない暴漢にとっては、予想の範囲を超えることだろう。

人生には、何かしらの切り札を用意しておくのが大切だ。