家庭の味

余り正しい食べ方ではないと思いながらも、実家で身に付いた習慣や味覚というものは、年を取っても中々直せないものだ。

カツオのタタキといえば、玉ねぎ、スライスニンニク、青ネギ(わけぎ)までは同じでも、私の場合は辛子醤油で食べる。
魚の生臭さと玉ねぎやニンニクのクセを辛子が抑えこめるからだが、これは小さい頃に亡父がやっていた食べ方で、大人になって試したら、割と悪くなかったので、今もやっている。

食べ方にうるさい人や四国の人から見たら、文句の一つも言いたくなるやり方だろう。

汁かけ飯にも抵抗はなく、むしろ食事の〆として、残った汁をかけ回して食すのだ。
歴史を調べてみれば分かるが、これは下品でも何でもなく、一つの作法として伝わっているもので、別段不思議でも何でもない。

逆に納豆は、おかずなので、飯には掛けずに食べる。

豆腐には酢橘を絞って食べるのが好きだし、白身の焼き魚にはポン酢の方が合うと感じる。

このように、人と違う食べ方をするからといって、変な目で見るのは近視眼的であり、自分の食べ方を恥じることもないと思う。

厳格な作法が必要な席で、穏当な振る舞いさえ出来れば、普段の食事は好きに食べれば良いではないか。

カレーは混ぜる派か、端から食べる派か、と問われれば、後者であり、掛けるならソースより醤油だ、と言い切ろう。