音のない世界

ふとつけたTVで、聴覚障害の少女の特集をやっていた。
補聴器を付けても、ほとんど音は聞こえないそうだ。
生まれつきそんな障害を抱えた娘が、剣道で頑張っている。

よく、中途障害は、根性がないと聞く。
混乱→否定→受け入れ→行動というプロセスの中で、中々3段階目に進めないというのだ。
見えていたものが見えず、動いていた手足が動かない、混乱するのも無理はないし、こんなはずでは・・・という否定も強かろう。
そして、ただ鬱々と【死にたい】を繰り返す。
ヘルパーに聞いた話だが、同情も励ましも出来ないと言う。
本人が出来ることをやらせるのが、介護の基本であって、痒いところまで掻いてやる必要はないし、してはいけない。
いわゆる甘やかしは、タブーだということだ。

こんなに可哀想な障害者である自分を大事に扱って欲しい、等と先天的障害者は、絶対に言わない。
日々、自分でもできることを探し、健常者ならラクラクとこなすことを努力で身につけてきたのだ。
音のない世界で剣を振るう少女も、対等に掛かってきてくれることが何より嬉しいと感じるそうだ。

中途障害者には、覚悟と経験が足りない。
ハンディを乗り越えるには、無い物ねだりではなく、自分を総動員する気力が必要なのだろう。