最も技術が進歩している人気の科目

小児科、内科、外科、耳鼻科、眼科、泌尿器科・・・病院には無数の科目があるが、医大を出て貰えるのは医師免許であって、どの分野を専門にするかは、医師の判断に任されている。
得意な分野や目指す診療科目があれば、インターン先や研究会に参加して専門を決める、というわけだ。

最近、この分野選びに非常な偏りがあると聞く。
トラブルや訴訟が起きやすい小児科や産婦人科を避け、緊急や夜間勤務が回ってくる外科も敬遠される。
逆に個人病院を開設する際に設備が安価で済み、まず大きな失敗もしない耳鼻科が人気であるらしい。

風邪を引いたと思ったとき、内科より耳鼻科に行った方が治りが早い、と聞いたことは無いだろうか?
気管支や扁桃腺の消毒で、通常の風邪は簡単に治る。
但し、高熱・嘔吐・下痢やインフルエンザの症状のように、明らかに重篤な人は、素直に内科か保健所に電話して所定の医療機関に行くべきです。

最近になって、人気が出てきた科目に、好きな人はいないと思われる歯科がある。
私の幼い頃は、とにかく歯医者と言えば抜きまくるイメージだったし、事実そうであった。
痛い麻酔、ドリル音、出血と全てにおいて苦手な病院。

ところが、この10年ほどの間に歯科医が増えている。
患者数も増加し、手間<儲けの図式が確立された。
最近の歯科医では、最低限の設備を整えれば、後は急速に高性能化した形成剤や無痛麻酔のお陰で、簡単に詰め物や差し歯の型が作れるようになった。
これなら抜かなくてもOKだし、レントゲンも必要なく、痛みも少ないから患者も増える。
そして、型取りした物は下請けに廻され、歯科医は完成した義歯や被せ物を調整して嵌めこむだけなので手間も減った。
インプラントの価格も急激に下がったので、歯槽膿漏や虫歯に煩わされるのが面倒なら、一生使える義歯に付け替える人も増えている。
一種のサイボーグ手術のようで、私としてはこういう資料を見ると楽しくなってしまう。

人間の身体は奇跡的とも言えるバランスで成り立っているので、一部を変えると別の箇所に負担が現れるものだが、インプラントと顎周りの問題は割りと調整が可能なようだ。

話が逸れたが、歯科医と耳鼻科に共通して言えることは、初期コストが安価で済み、薬剤や治療器具が進歩していて、急患や夜間診療が無いので自分の時間を確保でき、医療事故のリスクが低いこと。
おまけに患者数は増加する一方なので、数をこなせる精神力があれば、安定した収入が得られる点も大きい。


救急窓口のある病院で、夜間勤務の医師が一斉に辞表を提出したニュース等を聞くと、心労が激しい上に時間も給与も見合わないと叫ぶ気持ちも分かる。

患者側としては、どの科目にもバランスよく医師がいて欲しいものだが、将来的には患者は専門医師を求めてさ迷う時代が訪れそうだ。
歯科や耳鼻科が楽をしているとは言わないが、他の診療科目も、医師をサポートするような画期的な診断システムや医療技術を確立してあげないと、個人経営の小児科・内科・外科・産婦人科が無い国になるのも時間の問題ではないだろうか?


ちなみに今日、精神科の帰りに歯医者で詰め物をしてもらったが、2回の通院で済んだ。
私はタバコは吸うが、歯磨きは薬用を使用し、毎日欠かさないので、残りの歯と歯茎は大丈夫、だそうだ。
大人になって、初めての歯医者だったので、とても不安だったが、上記のような理由で楽勝だったことを追記しておく。