さくら

今週のお題「桜」

私は、花の中で一番好きなものは?と問われると、ヒマワリと答えてしまう。
いつも陽に向かい、すっくと伸びた大輪の花の情熱的な姿が、とても好きだ。
そして、種が食えるのもいい。

とはいえ、やはり春は桜につきる。
寒梅の清浄な姿と香りも良いが、暖かい日和に広がる「桜」の美しさと安心感は特別だと思う。
前にも書いたが、私の隠居場の周りは桜だらけである。
前回の通院日には蕾だったのが、今日干し物をしながら見下ろすと、すっかり六分咲ぐらいになっていた。
心地よい風と窓から見下ろす桜並木を眺めながら、冬の間に手をつけていなかった甘酒を思い出し、温めに燗して一息ついた。
酒造会社の蔵出しの一品だが、禁酒して長いので、置いてあることすら忘れていた。

昔は、毎年の花見を欠かさなかったし、子供が生まれてからは、桜公園で写真を撮ってやったものだ。
桜が咲くと、節目を迎えた気分になり、今年も一年が経つのが早かったなぁ、とため息を漏らしてしまった。

治療を始めてからの私は、滅多に家を出ることもなく、ただ漠然と月日が流れるのを見送るばかりだ。

咲き急ぐ桜は、散るのも早い。
次の通院日まで咲いていたら、少し遠回りをして帰ろうか、と珍しい気持ちに至った。

これが5年目の成果ならば、たまには素直になるのも良い。