脱力感

某所から依頼されたので、ここ一年余りのデータを整理して、グラフと注釈付きでステイツの友人に送った。
どう扱われるかは知らないが、私は古い友人に協力しただけで、どこの集団の肩も持つ気は無い。
向こうからもデータやプログラムを頂戴していたので、返礼のようなものだ。

この作業が終わって、一息吐いていると、何かもう災害対策や原発問題も含めて、この国の社会事情にうんざりしてきた。
元々、個人でやってきた事だし、ある程度の内幕も見えたので、後は社会がどう判断していくか、を眺めていようと思う。
意訳すると、もうどうにでもな〜れ、という気分だ。


少し仮眠した後で、ぼんやりと窓から桜を眺めていると、猫がちらほらと視界に入った。
1、2、3匹ほど、2匹は睨み合いで唸っていた。
もう一匹は、唸り声に時折反応しながらも、寝そべったまま眺めている。
うちの隠居所はペット禁止なので、恐らく皆が野良なのだろうから、縄張りを守らないと死活問題なんだろうなぁ、と漠然と考えていた。
すると、幾つか下の階から、小魚が投げられた。
いきなりで私も驚いたが、猫の鳴き合いも割とピークだったので、猫も驚いたようだ。
すっと寝そべっていた黒いのが、さっさと魚を回収して走り去っていく。
残りの2匹は、追う間もなく、後姿を眺めている。
顔は見えないが、意地の張り合いをしていた2匹は、呆然としていたかもしれない。

恐らく魚を投げた人は、唸り合いがうるさいので、餌で収めようとしたのだろうが、結果として成功したことになる。
久しぶりに笑ってしまった。

天気も良いし、偶然とはいえ面白いものも見れたし、こんな気分の日も悪くない。
『死ぬには、いい日だ』という言葉の意味は、絶望じゃなかった、と思い出した。