もう、いいか

私がステイツの友人を通して発注した商品に、放射能防御シートがある。
除去ではない、単に防御するだけの代物だが、1単位辺りの値段が高騰しているので、余り数は押さえられないようだ。
どうするかというと、窓辺や玄関などの放射能が侵入しそうな場所にテントのように張る。
時々、ガイガーカウンターで濃度を計り、一定以上になったら、流水で洗い流す。
実は、放射性『物質』という通り、物質である以上、接着面から洗い流すことが可能なのである。
もちろん、流水には高濃度の放射能が含まれるので、環境には全く配慮していないが、もろに自宅を汚染されるよりマシというレベルの商品だ。

何故、こういう物を依頼したかというと、各地の専門家や元原発関係者が、真実を広げる行動を開始したので、そろそろ太平楽な人も慌て始める、と判断したからだ。
福島3号機の原子炉事故から、その下部へと落ちている燃料(原子の炎:神の火)は、人類のテクノロジーでは消すことはおろか、今となっては封じ込めることも不可能になった。
最悪のメルトアウト状態で沈降し続ける流出燃料は、一定の周期で再臨界を繰り返し、その都度、高濃度の放射能汚染を起こす。

最初のあれ一回の爆発で、半減期が短いセシウム(約30年)だから、五重の防壁があるし、核爆発じゃないから(反応する純度より低い)等と思っている人は、大きな勘違いをしている。
メルトアウトした例など、人類は一度も経験していないが、チェルノブイリ(ウクライナ)でさえ、メルトスルー状態の核燃料に石棺による封じ込めをし、周囲350km範囲での農業・酪農の制限と禁止、村人の強制移住を行なったのは、一旦暴走した核燃料は消すことができないからだ。
再臨界を繰り返すために、25年が経過した今でも、居住禁止、立ち入り禁止を行い続けているのには、そういう理由がある。
だが、その段階で打つべき手を逃した日本のメルトアウト状態は、もうどのような手段でも終息させることは出来ない。

金づるである原発の再稼働を目論む政府と電力会社は、最終手段であるSarkofagus:石棺での封じ込めを故意に行わず、半ば放置状態で、一度空焚き状態でメルトスルーした跡地に海水を循環させ、収束したように見せかけ、しかも漏水事故まで幾度も起こしてみせた。
海外の推論では(日本政府が現地調査を許可しない)、かなり踏み込んだ調査を行なった組織(拘束されるまでに3号機周辺まで到達した)や周辺の測定等から、高濃度・広範囲の汚染が確認できる、としている。
すでに海外の専門家は、これまで日本の対応を心配していたが、次に批難する気持ちになり、これを通り越して、アホか・・・と見捨ててしまった。

さて、見捨てられてしまった私たちだが、最低でも2,000万人規模の被曝実験場として観察され、今後の事態を克明に記録されるはめになった。
かつて唯一の実証データであったヒロシマナガサキへの原爆投下(米の2回の原爆実験)が、放射能が人体に与える健康被害の指針に使われ、次にチェルノブイリ、今回も日本というのは、皮肉を感じる。
自殺願望でもあるかのように、打つ手打つ手で被害を広げ、何が何でも日本を滅ぼしたいとしか思えない政府の対応も、そろそろ誰か止めないと、フクシマだけでなく完全に日本全国の未来が消えてしまう。

問題が、世界にも重大な影響を与える場合、国を超えた調査チームや委員会がWHOや国連で設立されIAEAが承認するのが普通だが、日本の『大丈夫』発言のため、その段階に移行できずにいる。
本当の所、どのぐらい深刻なのか、ただ漠然とした発表のみを繰り返す政府が公開しない限り、国民は不安な日々を過ごさなければならない。
炉心の型が何であれ、実際の放射能汚染度のみを比べても、最短で影響が出始めるのは、乳幼児で5年前後、白血病で約10年、発癌は20年、と推移し、影響下にある子供と老人を中心に12%前後は、被曝による発病リスクを負うことになる、と予測されている。

どこらへんで、国民が慌て始めるかを見据えているのだが、どうやらハッキリと慢性的被曝による疾病や新生児の遺伝子異常が起きない限り、目が覚めそうにもない。
2016年頃から崩壊が始まり、その後には、なし崩し的に健康被害が増加、もちろんだが、そうなった頃には何もかもが手遅れだ。
医学の進んだ国なので、甲状腺癌等の固形癌・白血病に対する対処療法をするにしても、60〜220倍もの発病リスクで病人が出続ければ、とても対応しきれない。

隠居部屋から見る社会が、更に酷いことになるのは、私でも辛いし、胸が痛む。
死にたがりの斜視的観測だと言われれば、それを否定する気もない。
希望的観測や楽観論者の言う通り、日本が平和であるならば、それに越したことはない。


だが、慢性的に放射能による被曝が起こっている以上、ホットスポット周辺住民の気が安らぐことはない。
高価な放射能除去装置など、専門の御用学者か政治家ぐらいしか購入できないだろうし、見えない毒に怯える生活など、苦しいだけだ。

そういうわけで、安物ではあるが、慢性的被曝の目安になるし、放射能汚染とはどういうものなのか、少しでもリスクを減らす生活は出来ないのか、ということで、発注したのである。
ちなみに、こんな世捨て人のデータを理解してくれて、何か対策はないか、と相談してくれた某氏のために、全て原価で提供することにしている。
国内での販売も、通販先も無い商品なので、これ一回きりの流通だが、額面程度の効果はあると判断している。
嘘偽りなしの奉仕であるので、試してくれた人たちから、何らかのフィードバックを頂ければ、私の勉強にもなる。
この仕事は、それだけで十分だ。

ステイツでも品薄になってきているので、余り数は揃えられないが、一つのテストケ−スとして、効果の程を聞かせて貰い、他にも真っ当で安い製品を見つけたら、それは広めても良いと思っている。
私は、もう自然のままに生き、発癌しようと、よれよれになろうと構わないので、前向きに行動している方々の一助になれば幸いである。


放射能汚染という新たな事態を、誰がどのように取り組んで行くのか、事実に立ち向かう人を応援したい。

私は、この国の行く末を見届けて、死んでいくのが似合いの最期なのだから。