大阪通り魔殺人に思うこと

10日に発生した、大阪市中央区の通り魔事件で、2人の命が奪われた。
第一報を聞いた時は、精神異常者の凶行か、社会への怨恨かと思ったが、取り調べが進むと、とてもやるせない気持ちになった。

礒飛京三容疑者は、刑務所を出所したばかりで、友人宅等を転々としていたが、先行きに絶望し、自殺をするつもりでナイフを購入したという。
しかし、死ぬ覚悟がつかず、事件を起こして死刑にしてもらう気で、人が多く集まる繁華街に出て行った。

結果として、2人の人命が奪われたが、どちらも全身を十数ヶ所も刺されており、確実に殺害しないと死刑になれない、という強い思い込みが感じられる。
日本の刑法や判例では、2人を殺害した場合、ほぼ死刑判決が下るということを知っての犯行だろう。

どちらにしても、一人の身勝手な絶望から、何ら罪のない尊い命が奪われたことに、憤りを感じざるを得ない。

自らが絶望して自殺をするのは、相当に覚悟がいることだが、だからといって無関係な人を巻き込んで死刑にしてもらおうなど、許される動機ではない。

自殺を否定する気はないが、殺人は断じて許せない。
礒飛京三という男は、本人の希望通りに極刑が下るだろうが、それだけで済ませるには、余りに小児的な短絡思考の巻沿いになった被害者が浮かばれない。

この事件に、歪んだ社会の影を感じるのは、穿ちすぎかもしれないが、自分勝手な事情で無関係の人を襲う犯罪の増加は、それだけ世間も無秩序になってきているということだろう。

何とも救われない事件だ。


*余談だが、こうした現場に居合わせて、まず撮影をするという神経も理解出来ない。
警察に協力するなら未だしも、動画サイトにアップするのが目的など、人としての心無さに呆れてしまう。