犯罪捜査

法治国家として、我が国での犯罪者検挙率は、国際的にも高い水準にある。
かつては、初動捜査に駐在勤務の警察官が当たる場合もあったが、管轄が細分化されてからは、駐在所→担当管区警察署→警視庁と犯罪の凶悪さに応じて、捜査網の手配が上がる。
日本には、戸籍という記録があるので、犯罪者の身元を割るのは容易であり、足取りを掴むための道筋も予測できる。
余程、初動捜査に誤りがない限り、人海戦術と徹底した情報交換によって、容疑者の割り出し、検挙は困難というわけではない。

ステイツの1900年代初頭は、無法者と革命主義者が闊歩する時代だった。
広域犯罪や共産主義系テロリストを逮捕するには、余りにも脆弱で人員も組織も低レベルだったのだ。
後にFBIが設立され、情報の詳細化、犯罪者の身元の特定、州を超えた権限などが与えられ、その組織的統合力によって、ようやく治安が守られるようになったのである。
日本に住んでいると実感できないが、ステイツは同じ国内でありながら、州法によって、様々な条例に分かれている。
云わば州とは国であり、この多民族多国籍な共同体は、分裂や内乱に発展する危機的状況を常に抱えている。
ステイツにおける治安とは、USAという大国を維持する要であり、それだけに強力な組織や武装を余儀なくされている。

基本的に日本の場合は、犯人の身柄確保を最優先にするため、どんな凶悪犯が相手でも、射殺より逮捕を優先する。

ステイツでは、一般人を殺害するような犯人は、警官が射殺しても問題にもならない。
むしろ、犯罪者で溢れかえっている刑務所事情を考えれば、凶悪犯に死刑のない州で税金を無駄食いされるより、いっそ片付けてしまった方が、国のためだ、という考え方もある。

どちらにしても、犯罪発生から、現場の保全、証拠遺留物の収集・分析、周辺の聞き込み、といった基本的な手順も、科学技術の発展と共に、格段に精度と内容が増している。
猟奇殺人犯や行きずりの犯行といった動機や犯人像が浮かびにくい事件も増えているが、一般的な犯罪なら、日本もステイツも検挙率は高い。


未解決事件・失踪(誘拐の疑惑含む)の方は、ビラを貼ったり、HPで情報提供を求めるなどして、持久戦になっている物が多い。
広域指名手配で容疑者が判明しているのなら、まだ可能性はあるのだが、全くと言っていいほど手がかりがない事件も存在するのだ。
動機も、犯人像も、事件性の有無すら不明な不可解な失踪は、警視庁のHPなどでも閲覧出来るので、興味がある方はどうぞ。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%B1%E8%B8%AA%E4%BA%8B%E4%BB%B6#2011.E5.B9.B412.E6.9C.88.E7.8F.BE.E5.9C.A8.E6.9C.AA.E8.A7.A3.E6.B1.BA.E3.81.AE.E5.A4.B1.E8.B8.AA.E4.BA.8B.E4.BB.B6

完全犯罪というのは、犯罪が露見した時点で、既に完全ではない。
真の完全犯罪は、事件が起こったかどうかすら分からないレベルで、確実に犯人が目的を成功させているものを言う。
失踪届けが出され、ある程度の所在が判明している者を除いても、十数万人は所在が判明しないままで、行旅死亡人(身元不明)、年間の自殺者数が3万人越えを続けるのと合わせると、更に失踪・行方不明は増加する。

この内の何割かは、確実に事件に巻き込まれていると考えるのが普通だが、明らかに殺人や事件であると立証されない限り、身元不明の遺体は荼毘に伏されるだけである。


もし、貴方が身内と音信不通の状態で生活しているのなら、一報を入れるだけで、安心してもらえるだろう。
日本の事件はニュースに流れる物だけでなく、完全にこの世から抹消されるようなトラブルも起こり得るということを、覚えておいて欲しい。