残暑

暦の上では、すでに秋だが、今年も残暑が厳しい。
後、一週間は、この状態が続く見通しだそうで、まだまだ暑さは続きそうだ。

ベランダでシャワーを撒きながら、若い頃に読んでいた古典SF短編集を読み返している。
イデアの玉手箱のような内容で、今の時代で実用化されたもの、同じような論拠で人類終末を描いたもの、宇宙的恐怖や昆虫パニックなど、盛りだくさんのシリーズだ。

その、ほとんどが1900年代初頭に著されたもので、100年経った今でも、アイデアの秀逸さと描写力に引き込まれる。
古典を知ると、最近の作品の薄っぺらさに、ため息が出る。

映画などが顕著だが、大方のアイデアは出尽くしているので、設定の入れ替えや特技などで、水増ししているに過ぎない。
斬新だな、と思えるような作品は、滅多に観れない。

空想科学と疑似科学は似ているようで、全く違う。
空想科学が、あくまで科学を基本として、そこから有り得る可能性を想い描くのに対して、疑似科学は、妄想に科学のような説明を付けたファンタジーである。
SFとファンタジーを同列に語るのは失礼だし、SFファンタジーなどという組み合わせは最低だ。

科学者か、それに匹敵するだけの知識を有した人間にしか、SFを書く資格は無い。
と、いうか、まともな人間なら、SFを書こうとしても、恥ずかしくて書けないはずだ。
それほどに科学的論拠や専門知識を要するジャンルなのである。


その中の一篇に、太陽が接近し始めたので、気温が上昇し、病に倒れて、世界が燃え上がる話がある。
これは、主人公が見た夢だったのだが、現実の世界では太陽が地球から遠ざかり、全球凍結が始まっていて、主人公は病で高熱に犯されていたという短編。
全く逆の発想を組み合わせた秀作。

現在の世界でも、地球温暖化を叫ぶグループと小氷河期の入口であるというグループで、それぞれ論争をしている。

こう残暑が続くと温暖化に賛同したくなるが、これも小氷河期に入りつつあるために、世界の気象状態が不安定だからだ、と言われると、そんな気もする。

オチは、どちらになるのか?