急成長のツケ

かつて、国土の復興に一丸となって挑み、敗戦国から経済大国と呼ばれるまでになった日本。
その途上には、大気汚染で光化学スモッグ・ゼンソク、水質汚染水俣病・イタイタイ病、車の増加による交通戦争、そして国の方向性を巡って、学生運動や過激派の凄惨な私闘もあった。

今でこそ企業倫理で社会還元や緑化運動を掲げる大企業の多くは、国民の命を危険に陥れ、また奪ってきた犯罪会社でもある。
稼ぐだけ稼いだら、善人の面を被るのは、万国共通の処世術だ。

今の中国を見ていると、公害を撒き散らしながら利益を追求した企業、反米活動で一般市民を巻き込んでおきながら正義を宣う赤軍派を思い出す。
国の成長の途上には、通過点として避けられない段階なのかもしれないが・・・。


昔、日本の松下電器や自動車会社は、近代化と失業率に悩む中国に懇願される形で、大規模な工場進出を行なった。
国賓待遇で迎えられた工場は、技術革新と大量の雇用を生み出し、中国を工業国として成長させた。
企業側も超低賃金で労働力を得ることが出来、両国の関係は上手くいっているかに見えた。
しかし、大国の人口は膨れ上がり、就学制度も整うと、反日教育を推進し、盗んだ技術で国産メーカーを量産した。

結果として、増えすぎた人口は高い失業率を生み、厳しい教育過程を終えても仕事に有りつけず、国民保険制度も無い中国では、風邪をひいただけで1万円以上の治療費を要求され、バイトでも3日休むとクビ(労働基準局の保護がない)という中で、日本企業に就職するというのはステータスとなり、賃金UPの要求も年ごとに増し、ボイコットやストが増加した。

そして、高い失業率と反日教育は、今回のような暴動に発展した。
望まれて行った工場や店が、破壊され、放火されている。
妬み、生活苦、貧富の差、ぐちゃぐちゃな社会不安が愛国教育に着火して、尖閣というより豊かな日本と企業に爆発した。
ただ、こういう行為が中國の損失になっているというのは暴動に参加している連中は百も承知で、就職できた同胞をも、日本の会社なんかに勤めやがって、と愛国混じりの妬みを晴らしているだけだ。
トラックで秋葉原歩行者天国に突っ込んだ阿呆と同じレベルで、愛国無罪を盾に暴れ回りたいだけなのだ。

日本人も、今回の暴動に不安を感じているかもしれないが、実は中国の中流層から執行部はもっと不安だろう。
彼らの暴力の対象が、豊かな日本から、政治や富裕層に向かったとき、簡単に内部分裂に発展するからだ。
世界2位の大国に成長した中国だが、国民の質や社会制度は2流国のまま、外に向かうエネルギーが内に変じたとき、どんなことが起きるのか。


色々と、飽きない国ではある。