優しい嘘と醜い嘘

大人になれば、嘘も方便ということも学んでいく。
誰も損をしない、迷惑を掛けない嘘ならば、誰かを思いやる為に口にすることもある。

全く根拠のない【大丈夫】もそうだし、【生きていれば良いこともある】等も許されるだろう。

だが、末期の心臓手術にiPS細胞を注射し、患者が元気になった、と発表した森口尚史氏の発言が問題になっている。
面白いのは、発言当初のインタビューと現在では、まるで人相が変わっている点だ。
自信満々に語った姿は何処へやら、しどろもどろに弁明する顔は、末期内閣の閣僚のようだ。

ハーバード大学客員講師の肩書きも否定され、手術に関しても、大学や病院と森口尚史氏は関係がない、と言い切られる始末。
実際に2月の手術で、氏がアメリカに居たかどうかも不明となっては、妄想家の嘘つきと断じられても仕方あるまい。

N・Yでの研究発表も辞退し、主催者側からも削除されるなど、嘘がバレるのも時間の問題だが、いい年をして何を言い出すのか、と呆れてしまう。

【iPS細胞で心臓手術に成功】
新聞の一面を踊った記事に、心から喜んだ難病患者の方も居たはずで、実用化されたのかと一気に期待を高めたに違いない。
ところが一転して、事実無根の嘘だった可能性が強まり、失望の度合いも大きかっただろう。

幸い、この件で大騒ぎしたのは日本のマスコミだけで、海外は全く関心を示していない。
日本の恥が世界に影響を与えなかったことだけは助かったが、本当に醜い嘘である。

山中氏が燦然と輝く星ならば、この男は石ころ以下だ。

願いをかけるのなら星に限る。