選挙の陰で

もっと他に見直す点はあると思うが、生活保護への仕分けが活発だ。
全体的に支給金額を減らし、医療扶助の適正化、不正受給者への厳罰化で対応しようというわけだ。

結局は、各自治体の取り組み方だと思うが、多くの方は遠慮というか、申し訳ないと感じながら保護を受けていると思う。
最後のセーフティネットであるからには、等しく権利を持っているのだから、本当に必要ならば胸を張ってもいい気もする。
少なくとも、うなだれる必要はない。

昔は親戚付き合いが盛んだったので、余程のことがなければ、困ったときには助け合いという空気があった。
現在は、孤独に陥る高齢者や生活困窮者も増え、生活保護が必要な人が増えているのだろう。
身内に【生活保護】を受けている人間がいるのを親戚全体の恥と感じていた時代は終わったようだ。

不正受給は論外だが、働こうと思えば何とかなる人の場合、不景気の怖さから、節約してでも生活保護で暮らす方が安定出来ると思っているのかもしれない。
仕事に就いても、すぐに倒産でもされた日には、もう一度申請したくてもハードルが高くなる可能性もある。
日本の不況が影響しているため、かなり難しい問題だ。

生活再建より、自殺を選ぶ人間も、毎年3万人を下らない。
生活保護受給のハードルを上げれば、自殺者数を増やす結果にも成りかねない。
医療扶助が無ければ、困窮を理由に治療をしない人が増加し、これもまた重症化して死亡する。

生活保護制度を見直すのは意義があることだが、切り捨てるような改革では、政治不信、社会不安、自殺者を生み、景気が良くなる前に人的損失が肥大化する。

財政の問題だけで手をつけると、取り返しのつかない損失になるかもしれない。
損失は、命だ。