犠牲を強いれば

国が大きく変わる時には、必ず不遇な目に遭う国民がいる。
政治は、何時の時代でも、何を育て何を切り捨てるか、でその価値を問おうとする。

増税なき経済改革など不可能だが、我が国の中流以下の層の増加で、危機的な状況まで生活が追い込まれる世帯は多い。
昔のように勤労年数で評価されるのは、公務員ぐらいのもので、ほとんどの民営企業では、雇用の保証もなく、いつリストラされてもおかしくない。
最低限の生活を維持するのも難しい社会で、更なる増税となれば、最悪の場合、勤労意識の低下すら起きかねない。
生活苦による自殺者の増加だけは、国として防ぐべきだろう。

今、軽減税率の導入が、選挙前の政党から飛び出している。
生活必需品の項目は税率を5%のままにし、他の項目は8%→10%にアップしようというものだ。
導入している国も多いし、可能ならば行うべきだが、政府の空手形は当然のことであり、結局は実現しないまま、課税する気がする。

富裕層や大企業の課税率をアップするのも、結局はその下で働いている低収入層にしわ寄せがくるので、貧乏スパイラルの改善にはならない。
○○手当なるバラ巻きも、その場しのぎでしかなくて、根本的な解決には程遠い。

増大する高齢者に負担を増やすと、犯罪年代の上昇を招く。
年寄りが珍しくなくなった現代では、犯罪も高年齢化し、再犯率も高くなっている。
医療費の負担増、支給額の減額、乏しい貯金を切り崩しても、ただ生きるだけの余生に満足があるのか。
更に、老いて貧しい心境を考えてみれば、これほど惨めで、心寂しいものもあるまい。
老人が自殺する国、それは亡国の条件でもある。

若年層は、減少の一途を辿り、大学進学率も下がり、働くことに夢や希望を持てないため、定職に就く率も下がっている。
中小企業に就職しても不安と不満に支配され、生活も苦しいだけで、結婚に意味を見いだせない、子作りが不安で出来ない社会は辛いだろう。
若者の希薄な人生観は深刻で、高齢社会を支えるどころか、自らの生活や人生すら挫折し、自殺における割合も高い。

国が貧しくなれば、犯罪が増えるのが普通だが、日本人の国民性で、堕するなら死ぬ、という感覚は根強い。
どんどん人生の重みが軽くなり、簡単に捨てされる希薄な人間関係も背景にあり、障害が起きれば死ねばいい、という悲しい結論が選ばれる。

政治家の言葉に信がなく、親子関係も崩れ、社会は息苦しい。
これで、死ぬな、とは私は言えない。
ただ、20代ぐらいまでは生きてみてもいいんじゃないか、と勧める。
それでダメなら、幾つになってもダメなのだから、諦めても仕方がない。

増税に耐え、暗愚な政治に耐え、孤独に耐え、どれだけ耐えれば幸せになれるのか、今の状態では分からない。

嫌な時代になったもんである。