生き残りの達人

この政治家は嫌いだ、とよく言われるのに、どう政局が転んでも存在感を残す人がいる。

経歴の割に総理の椅子からは離れ、誰の片棒も担がず、黒い金の噂が付きまとう男【小沢一郎】だ。

その処世術は完璧で、船が沈む前に逃げ出すネズミの中でも大物だ。
常に取り巻きを維持し、決して致命的な傷を負わず、姿が見えない時は暗躍している。

政治家としての資質は疑問だが、政治屋としては超一流であり、ここまで徹底していると逆に凄みすら感じる。

そんな男が、第三極としてお膳立てしたのが、未来の党
まさかの滋賀県知事の登用、少数勢力の結集も異常なスピードで行い、さっさとまた影に消えていった。
選挙後も、自分は役員には就任しないと明言しているが、実際のところは小沢新党であることは明白だ。

混乱が続く選挙戦から遠ざかり、しっかりと存在感だけを示して、黒幕の位置に戻る。
大声を挙げている安倍氏野田総理が小物に見えてくるから不思議だ。
国政を熱く語らず、殊更に問題提起もせず、政治家として大物ぶらないという完璧な政治屋である。
最小限の露出で、最高のインパクトを狙うその能力が、政治屋としてではなく、政治家の本業に向けられていたら・・・。

そんな感傷など通り過ぎて、一種の怪物として、日本政界に巣食い続けるのだろうが、水面下の小沢が一番怖いという通説を、今回の選挙でも見せつけられた気分だ。

未来の党】も、小沢氏からすれば生き残るための方便に過ぎず、局面が変われば、また移動するだろう。

国政の暗黒面の体現者、小沢一郎とは、恐ろしい男である。