銃弾の重さ

コネティカットで、小学1年生20人と教職者6人が、凶弾に倒れた。

犯人は20歳のアダム・ランザ。
暗い性格で、アスペルガー症候群の羅患者と言われているが、精神科の受診歴は無いことから、何らかのきっかけがあったと思われる。
第一、内向的なアスペルガーで、行動を起こすのに膨大な気力が必要な大量殺人を起こすような症状は稀だし、恐らくは他の理由で精神を病んでいたのだろう。

最初に殺害したのは母親だ。
その母親のコレクションであるグロック・ハンドガン、自動小銃2丁等で武装し、サンディーフック小学校に向かい惨劇を起こした。
防弾チョッキを着込んでいたのは、凶行の途中で射殺されることが嫌だったからだろう。

詳しい状況は不明だが、学校のセキュリティーを抜け、教室の窓を銃撃したアダムは、そこから侵入し、無言で子供達に銃弾を撃ち続けたという。
2つの教室で乱射した後に、校長を含む教職者6人を射殺し、校舎から逃走。
そして、車内で銃を使い自殺、これで死者は28人になった。

コネティカット洲は、私の知る限り治安がよく、銃規制も比較的厳しい土地だ。
だが、社会的に信用が有り、豊かな収入を得ていれば、所持に問題は無い。
母親は、教職の免許も持ち、金融関係に務めるエリートで、無類の銃コレクターでもあった。
許可が下りれば、自動小銃はおろか、所持しようと思えばミニガンまで持てるのがステイツだ。
ガンマニアになるような女のせいか、息子に口やかましかったといい、そんな生活の中で、息子のアダムは殺意を高めていったと思われる。

人が激発した時に、身近に銃器があれば、それを使うのは自然な行動だ。
母親を殺す動機は理解できるとして、何故、子供たちにまで殺意が向けられたのかは分からないが、狂人の論理に整合性などあるわけもない。
お定まりの、やるだけやったら自殺、という展開で、犯罪史に又、クズが一人加わった。

どうして、まだ幼い命が奪われたのか、という親たちの憤りは、永遠の謎になってしまった。

この悲惨すぎる事件に、オバマ大統領も思わず涙ぐむ姿が見られたが、銃社会を変えることが出来るか、は難しい。
銃自体の規制が、全米ライフル協会等の抵抗で進まないし、では何を規制するのか、誰を規制するのか、という問いにステイツは答えられないからだ。
ただ、コネティカット州法は、間違いなく銃規制を強めるだろう。


自衛する権利、銃を持つ権利、銃弾で命を奪うかもしれない権利、権利権利権利と頭が痛くなる。

一つだけ言えるのは、無抵抗の人間、特に幼い命を奪う権利など、誰にもない、ということだけだ。
たった一人のクズがバラ撒いた僅か8gの銃弾は、大きな未来と新しい人生を迎えるはずだった子供達の明日の希望を撃ち砕いた・・・。