殺人スモッグ

以前から問題になっていたが、中国の大気汚染が限界を超えている。

産業革命後のイギリス、高度成長期の日本、国家が成長する過程で、必ず公害問題は超えなければならないのだが、13億の人口を有しながら、後進国並みの民度しかない中国では、人類が経験したことがない汚染レベルを記録している。

中でも、石炭の燃焼後に含まれるPM2.5という微小粒子状物質は、その名のとおり2.5μmというサイズであり、通常のマスクでは防げない。
毒性は極めて高く、肺胞に沈着すれば、喘息・肺炎・頭痛などを引き起こし、花粉と結合すれば、深刻な症状を引き起こす。

日本でも、光化学スモッグに代表される大気汚染時代があり、四日市ぜん息は、四大公害病として知られている。
多くの方が、北京市内の映像を見て絶句したと思うが、日本もこういう状態だった頃があったのだ。

中国の場合は、暖房システムが地区により一括化されているので、放出する石炭煙の量も尋常ではない。
化石燃料だけではなく、産業・交通・黄砂も汚染源だが、子供の6割が何らかの呼吸器系障害を発症しているとの情報もある。
まるで、古典SFの公害で住めなくなった未来のような光景で、国家的危機であることを中国政府も認めている。

空気缶・ガスマスク・使い回しのマスク・不当表示のマスク・酸素ボンベ、と民度の低さを改めて実感できる中国の混乱ぶりも苦笑ものだが、何の解決策も提示しないまま、3月には暖房が不要になるので改善されるだろう、と発表する政府も政府だ。

自国だけで困るのなら自業自得だが、風下の我が国は、本当にいい迷惑だ。
すでにPM2.5対応のマスクは、かなり品薄になっているそうなので、どうしても外出しなければならない人は、早めに買っておくといいだろう。