TPP

環太平洋戦略的経済連携協定(TransPacific Strategic Economic Partnership Agreement)の交渉参加が秒読みだ。

次の総会予定が9月ということなので、今のうちに参加を決めておけば、参議院通常選挙の後ということになるので、仮に揉めても大丈夫(議席的に)ということだろう。
一丁目一番地の経済復興が軌道に乗っている今、仮に自由化の波で農協が被害を受けても、即座に自民党総裁即ち安倍おろし、という流れにはなるまい。
その感触を理解しているからこその、交渉参加強硬なのだから。

第一、支持母体だからといって、グローバル化の波を無視して、いつまでも擁護して貰える、と考える方がおかしい。
日本の食料自給率を守るため、というお題目も、何か空々しい感じで、結局は甘えてきた現状が厳しくなるのが怖いだけの騒ぎだ。

島が無人島になるとか言うインタビューもあったが、その程度の産業なら、TPPが無くても、島民離散しても逆に不思議では無い。
農業が落ち目になると後継者不足になるというのも、少し方向性がおかしい。
魅力的な産業に育てるのは、その従事者であって、国の擁護は手助けに過ぎない。
安い外国産農産物に競争で負けるというデータがあるなら、経済の専門家でも役員に据えて、徹底的な合理化とマネジマントを行えばよい。
何処の産業でも、そうしているのだから、農業だけが国の根幹だとか、と言い、特別扱いが当然だ、と思い込んでいる考え方が不条理だ。

実際、地方の特産物を除けば、大抵の農作物は世界で作れる。
アメリカ産のコシヒカリを食べると、国産と区別がつかない。
これは、アメリカ農業の努力と研鑽の賜物であり、そういう努力をしている国と競えないのなら、日本農業は消えるだけだ。

情けない陳情や集会をする暇があるなら、対外用の施策やマーケティングの計画を練り、世界と競争する力強い農業を確立するべきだろう。
世界でも、トップクラスの技術と経験を持つ日本農業が、戦う前から負け宣言とは嘆かわしい。

はっきり言うが、聖域は守られないし、TPPからも脱退できない。
誰が考えても、この結論しかないし、この事態になっても安倍内閣は解散しない。
自信がない農家は、今からでも別の食い扶持を探すといい。


青果工場が、実験的に作られ、水耕だけで野菜や果実が作れる時代に入ろうとしている。
外界の影響を受けずに、安定した品質と味を持つ農産物が大量出荷されるようになれば、特殊な物を除いて、どのみち農業は衰退する。
水準以上の農産物を作っている人間は、逆に世界に売り込むチャンスだし、以下の人間は淘汰される。
そして、優秀な農家にだけ後継者が現れ、普通の食物は工場生産で十分になるだろう。

食料自給率が高い国の方が珍しいのだから、この数値に拘るのは農家の言い訳ぐらいのもので、普通はどうでもいい話だ。

農業にも、競争の原理を、私が言いたいのはそれだけだ。

他の産業はTPPに向けて、自前の武器で立ち向かうのだから。