幸せ、不幸せ

仕事に猛進している頃は、寝る時間が惜しいとさえ思っていた。
個人事業主というのは、多かれ少なかれ、自分に厳しくなければ成り立たないからだ。

家族を持った頃には、更に仕事を追求したが、折り悪く人生最悪の金欠に陥った。
世間のせいにしてはならないが、景気の悪さも手伝って、もういっぱいいっぱいで月末を超えていたものだ、
金の切れ目だけではないが、そんな時に嫁に浮気をされ、冷静さを失っていた私は、すぐに離婚という結論を出した。

不思議なもので、離婚してから半年ほどで大きな稼ぎがあり、色々と考えた末に、私は隠居生活に入った。

家族がいた頃が幸せだったか、と聞かれれば、是と答える。
では、一人になったときに不幸せか、と問われれば、これは否だ。

矛盾しているようで、どちらも成り立つのが人生の面白いところかもしれない。

躁鬱と(今は糖尿も)孤独に苛まれても、私は一人で生きることに喜びを感じる性らしい。
そして、私は辛抱に強い。

死ぬときは、異郷の果てで、土に還りたいものだ。