香りの魔力

今週のお題「オススメの気分転換法」
私は、鬱病を患っている。
それだけに気分の変調には敏感で、「あ、これはいかん」と感じたら、何とかして落ちるのを防が無くてはいけない。

音楽は逆効果になる場合があるし、TVは観ない、料理はやる気が起きなければいけないし、入浴は不可能に近い。

そんな時、和木の線香を炊くと、気分が静まる。
白檀や檜、桜やハーブも良い物だ。
日中に深く眠りたい時に、ヘッドホンとアイマスクをするのだが、五感が減るので、余計に香りに敏感になる。
気分が荒れ模様な時は、こうして香りの世界に溶け込むと、中々よい気分転換になる。

タバコを吸う割りに、私は匂いに敏感な方で、昔は美味しい店は外からでも分かる、と友人に語っていた。

亡父も、香水や匂いに敏感な方で、安物の香料を使った香水を着けている人間と会うと、恥ずかしい奴だ、と笑っていた。
日常的に入浴する習慣がある我が国では、石鹸の香りが上とされ、男性の香水には眉をひそめる人も多い。
まぁ、それも分からないでもないのだが、どれほどキレイ好きでも、男の匂いというものは悪臭の部類に入る。
この体臭(或いは加齢臭)と溶け合って、自分だけの香りを作れると、香水の世界が面白くなる。

若者には汗の臭いが似合うが、男の人生も半ばを過ぎれば、こういった嗜み一つで世界も変わる。

ステイツの男性の体臭は凄まじいので、ほとんどが香水を着けているのだが、明らかに間違った安物の組み合わせをされると、順番待ちの列の最中でも逃げ出したくなる。
肉食文化圏の恐ろしさの一つである。

私は、この病の特徴である入浴忌避と対人恐怖症を持っているので、訪問看護士の来訪日や通院日にだけ、オーデコロンを少量、手首と首の動脈に振る。
ふわりと香りを纏う程度が適量だと思っている。


部屋の中の空気も香りを纏えば、気分を変えてくれるし、瞑想も悪い方向にいかずに済む。
せっかく、持って生まれた感覚なのだから、使わないと損というものである。